面会交流の裁判例

東京家裁平成27年12月11日

一 相手方は、申立人に対し、本審判確定の日の属する月の翌月以降、以下のとおり、申立人と未成年者が面会交流することを認めなければならない。
(1) 月一回 第一日曜日 午前一一時から午後四時まで
(2) 相手方は、(1)の面会交流開始時間に、△△駅の改札口において、相手方又は相手方の指示を受けた第三者をして申立人に未成年者を引き渡す。
(3) 申立人は、(1)の面会交流終了時間に、△△駅の改札口において、相手方又は相手方から事前に通知を受けた相手方の指示する第三者に対し、未成年者を引き渡す。
(4) 当事者や未成年者の病気や未成年者の学校行事等やむを得ない事情により、上記日程を変更する必要が生じたときは、上記事情が生じた当事者が、他方当事者に対し、速やかにその理由と共にその旨の通知をし、申立人及び相手方は、未成年者の福祉を考慮して代替日を決める。
二 相手方は、申立人と未成年者が、手紙により相互に交流することを妨げてはならない。
三 相手方は、申立人が、未成年者に対し、社会的に相当な範囲内の贈り物を送付することを妨げてはならず、申立人が未成年者宛に送付した贈り物を受領した時は、速やかに当該贈り物を未成年者に交付しなければならない。

理   由

第一 申立ての趣旨
一 相手方は、申立人に対し、審判が確定した日の属する月の翌月以降三か月間、以下の要領で、申立人と未成年者が面会交流することを許さなければならない。
(1) 回数 一か月二回
(2) 日時 第一土曜日及び第三土曜日のいずれも午前一〇時から午後六時まで
(3) 引渡場所 △△の自宅玄関前
二 前項に定める面会の実施に当たり、当事者の一方が希望する場合は、引渡又は面会の実施あるいはその双方につき、第三者機関の仲介又は立会を利用する。第三者機関利用に伴う費用は、第三者機関の利用を希望した当事者が負担する。
三 相手方は、申立人に対し、前二項に基づく六回目の面会交流の終了日の属する月の翌月以降、以下の要領で、申立人と未成年者が面会交流することを許さなければならない。
(1) 回数 一か月二回
(2) 日時 第一土曜日及び第三土曜日のいずれも午前一〇時から翌日午後六時まで
(3) 引渡場所 △△の自宅玄関前
四 前三項に基づく面会交流開始時の引渡は、当事者間の協議により、開始時刻までに引渡場所に到着することが予想される時刻に未成年者を適宜の交通機関に搭乗させ、かつ、その旨を携帯電話等で申立人に通知する方法で行うことができる。この場合、相手方は、未成年者を引渡場所に連れて行く義務を負わない。
五 相手方は、申立人と未成年者が、携帯電話や手紙など適宜の方法により相互に通信することを許さなければならない。
六 相手方は、申立人が未成年者に対し、社会的に相当な範囲内の贈り物等を送った場合に、これを許し、当該贈り物等が未成年者に渡るよう便宜を図り、未成年者が受領した旨と未成年者の感想・反応などを、具体的かつ速やかに申立人に通知しなければならない。
七 相手方は、申立人に対し、年二回、未成年者の夏休み及び冬休みに、未成年者を連れて、一週間以上三週間以内の期間で△△国に里帰りすることを許さなければならない。
第二 事案の概要
一 本件は、妻である申立人が、平成二四年九月二一日、夫である相手方と同居している申立人と相手方との間の子である未成年者との面会交流を求める調停の申立てをし、平成二六年一〇月二二日、不成立となって審判手続に移行した事案であり、非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律整備法四条第二号により廃止前の家事審判法が適用される。
二 調査報告書を含む本件記録及び手続の全趣旨によれば、本件の経過について、以下の事実が認められる。
(1) 申立人(××年××月××日生。国籍・△△国)と相手方(××年××月××日生)は、平成一二年××月××日に婚姻の届出をした夫婦であり、平成一五年××月××日に未成年者が出生した。
(2) 申立人は日本語で十分な意思疎通ができない状態であったこともあり、遅くとも未成年者の出生後である平成一五年××月頃から、△△人家政婦が同居して監護補助をしていたが、平成一六年二月からは日本人家政婦であるAが雇用され、午後のみ通って家事を担当していた。
平成二〇年一〇月以降、△△人であるBが家政婦として雇用されて同居するようになり、現在も相手方自宅において未成年者の監護補助を担当している。
(3) 申立人と相手方は、平成二二年頃から夫婦仲が険悪となって、激しいけんかをするようになり、申立人と未成年者が平成二三年二月一九日から同年六月三日まで△△に一時帰国している間の同年五月末頃、相手方は、同居していた家を出て別居した。
相手方は、同年六月二〇日、申立人の署名欄を代筆して離婚届を作成し、提出したが、申立人が協議離婚無効確認訴訟を提起し、平成二四年六月一九日、離婚無効確認判決が確定して、戸籍から離婚事項が消除された。
平成二四年、相手方は、申立人に対し、横浜家庭裁判所に離婚を求める訴えを提起し、平成二五年、申立人も離婚を求める反訴を提起して、現在も係属中である。
(4) 平成二三年六月三日に申立人と未成年者が日本に帰国した当時、Bは家庭の事情で△△に帰国しており、Aのみが通って家事を担当していたが、同月二三日にAが辞めた後は、申立人と未成年者のみで生活していた。
相手方は、平成二三年七月一五日、未成年者が当時通っていた△△小学校から未成年者を連れて帰り、当時の相手方宅で同居することとし、△△から戻ってきたBを同居させ、Aも雇用して未成年者の監護を行うようになった。これに伴い、未成年者は、小学校を転校している。
(5) その後、申立人は、未成年者が通う小学校を探し出し、平成二三年九月一二日、未成年者が通っていた小学校から未成年者を連れ出した。小学校から知らせを受けた相手方が警察に通報し、未成年者と共に相手方自宅に赴いた申立人と未成年者は△△警察署に任意同行され、同署において、未成年者は相手方に引き渡された。
これについて、相手方は、申立人が、小学校の許可を受けずに未成年者を連れ出したと認識しており、未成年者を連れ去ろうとしたものと判断したことから、連れ去りを防ぐため、再度転居し、未成年者も転校させ、現在の住所を明らかにしていない。現在もBが同居し、Aが通って家事や未成年者の監護補助を担当していることに変わりはなく、未成年者が外出する際には家政婦が同行している。
他方、申立人は、相手方らと同居していた自宅に居住しており、平成二三年九月一二日以降、未成年者との面会交流は行われていない。
(6) 申立人は、平成二四年九月二一日、未成年者との面会交流を求めて調停の申立てをし(当庁平成二四年(家イ)第七八六八号)、調停手続が行われていたが、平成二六年一〇月二二日、不成立となって、審判手続に移行した。
第三 当裁判所の判断
〈編注・本誌では証拠の表示は省略ないし割愛します〉
一 父母が別居し、子と同居していない親と子の面会交流につき父母の間で協議が調わないとき、又は協議することができないときは、家庭裁判所は、民法七六六条を類推適用し、家事審判法九条一項乙類四号により、面会交流について相当な処分を命ずることができると解するのが相当である(最高裁第一小法廷決定平成一二年五月一日・民集五四巻五号一六〇七頁)。
そして、子の福祉の観点からは、父母の別居中においても、非監護親との適切な面会交流が行われることは、子の健全な成長や人格形成のために必要なことであり、有益であるといえるから、面会交流の実施がかえって子の福祉を害するといえる特段の事情がない限り、原則として、非監護親と子との面会交流は認められるべきものと解される。
二 相手方は、申立人との面会交流が未成年者の福祉を害するものであるから、認められるべきではないと主張しているので、この点について検討する。
(1) 相手方は、申立人が未成年者の育児を放棄していたことを主張しており、遅くとも平成一五年××月以降、△△人家政婦が申立人ら家族と同居しており、平成一六年二月以降は日本人家政婦であるAが通うようになって、家事や監護補助を行っていたことは上記認定のとおりである。
また、未成年者について、人事訴訟事件で行われた調査の平成二六年八月六日付け調査報告書、本件の調停手続において行われた調査の平成二五年七月一六日付け調査報告書及び審判手続に移行した後に行われた調査の平成二七年三月三一日付け調査報告書では、少なくとも、未成年者自身が、申立人と二人で生活していた平成二三年六月頃から同年七月一五日までの生活について、食事を作ってもらえず、朝も起こしてもらえなかったため、小学校に遅刻したときにも、申立人が小学校への説明をしてくれなかったことなどを指摘し、平成二六年及び平成二七年の調査時点においても、説明しながら泣くほどの状況として記憶していることが窺われる。
Aの説明によれば、同室内で就寝するなどして未成年者を主として監護していたのは△△人家政婦で、申立人は未成年者の監護に関与していなかったというのであり、少なくとも、夫婦と幼児の三名の家族に、家政婦一名が同居し、さらに一名が通って家事を担当していたというのであるから、未成年者の監護の全般を申立人が行っていたとする申立人の説明は、上記の未成年者と二人で生活していた期間についての未成年者の指摘を考慮すれば、採用できない。また、申立人と未成年者が二人で生活していたわずかな期間、未成年者が、子の生活にとって最も基本的な食生活の面においても十分な監護を受けられなかったと認識していることは上記のとおりである。
しかしながら、申立人が、未成年者の監護を直接行っていなかったとしても、家政婦二名を雇って、申立人あるいは相手方の指示により家政婦らが未成年者を監護していたとすれば、そのことをもって、申立人が育児を放棄したとまでいえるものではない。そして、申立人が未成年者と二人で過ごしていた期間の生活については、未成年者が現在も否定的な記憶を強く残していることからすれば、申立人による監護が不十分ないし不適切であったと評価せざるを得ないし、これに加えて、相手方は、申立人が未成年者を夜間六本木などの繁華街に同行したことなども主張しているが、申立人の監護状況に不十分ないし不適切な点があったとしても、そのことから直ちに、申立人が未成年者と面会交流することが、未成年者の福祉に反するとまでいうことはできない。
(2) 相手方は、申立人による未成年者の連れ去りの危険性があり、△△等外国に連れ去られた場合には取り戻すことが不可能であることを主張している。
ア 相手方が別居した後、Aが通って家事を行っていた頃に、申立人が、夏休みになったら未成年者を△△に連れて帰って、申立人の母親に預け、二度と日本に返さないと述べていたというのであり、平成二三年九月一二日、申立人が未成年者を小学校から連れ出したことは上記認定のとおりである。
また、相手方は、申立人が、相手方の会社の自動車に、走行経路を記憶するGPSによる追跡装置を装着して、相手方の行動を調べていることを主張して、平成二三年一一月三〇日及び同年一二月一日の写真を提出しており、申立人が、平成二四年八月から九月頃、未成年者に無断で、未成年者の写真を登載したFacebookのページを作成し、未成年者が母親を探していると記載し、未成年者の写真を載せたインターネット上の書き込みをいずれも公開したことが認められる。
イ 上記のとおり、申立人は、未成年者を小学校から連れ出して、当時の相手方自宅に行った時点で警察官に任意同行を求められたものであり、申立人の心情は別として、その行動が不適切なものであったことは否定できない。
また、相手方の会社の自動車に追跡装置を装着したとされる点についても、申立人が、相手方の自宅を探し出そうとしていたものと推測されるが、少なくともそのために選択した手段は到底是認できるものではない。
さらに、未成年者の氏名や写真をインターネット上に公開して、母親を探すよう呼びかけるなどの書き込みをしたことは、相手方及び未成年者が認識し得ない状態で、未成年者の氏名及び容貌を不特定多数に示すものであって、未成年者を危険にさらす可能性も否定できず、どのように説明したとしても正当化し得るものではない。
上記のとおり、これらの申立人の行動は不適切であって、未成年者の福祉に配慮しているとは到底いえない行動であるといわざるを得ない。
ウ しかしながら、申立人のこれらの行為は、いずれも本件調停の申立て以前、あるいはその前後に行われたものであって、現時点においては、夫婦間の問題については△△家庭裁判所において離婚訴訟が係属し、未成年者との面会交流については本件で審理されるなど、いずれも法的手続において解決するための行動が取られているから、少なくとも、今後、連れ去りなどの未成年者の福祉を害する行動を行わないことを期待することができ、その後に、申立人が未成年者を連れ去ることを窺わせる事態が生じたことを示す事情は見当たらない。
また、△△等海外に連れ去られた場合には、未成年者を取り戻すことが極めて困難になることは相手方の指摘するとおりであるが、未成年者のパスポートは相手方が保管しているというのであり、申立人が、相手方の了解なく、未成年者を国外に連れ出す具体的な危険性があることも窺われない。
さらに、申立人が、未成年者の氏名や容貌をインターネット上に公開したことは極めて不適切な行為であったというべきであるが、そのことが、申立人が未成年者の連れ去りを意図していたことを裏付ける事情であるということはできない。
したがって、上記の事情はあるとしても、現時点において、未成年者との面会交流を実施すれば、申立人が未成年者を連れ去る危険性があるとまではいえない。
(3) 相手方は、未成年者が申立人との面会交流を拒否していることを主張している。
確かに、未成年者は、本件の調停手続において行われた調査(平成二五年七月一六日付け調査報告書)、審判手続に移行した後に行われた調査(平成二七年三月三一日付け調査報告書)及び人事訴訟事件で行われた調査(平成二六年八月六日付け調査報告書)のいずれにおいても、申立人との面会交流は、調査時点では否定的である旨の回答をしているが、他方で、親権者が相手方となった後には会ってもよいとか、申立人が絶対に連れ去らないと約束した場合には、もう少し大きくなってからであれば会ってもよいと述べていることが認められる。
未成年者が、申立人と二人で生活していた期間について、申立人に対し否定的な評価をしており、三年以上を経過した平成二七年三月の時点でも涙を流すほどの経験として記憶されていることは上記のとおりであるが、上記各調査報告書によると、未成年者は、そのことを理由として申立人と会うことを拒絶しているのではなく、平成二三年九月に小学校から連れ出されたことから、申立人と面会して連れ去られることを懸念しているというのであり、親権者が相手方となれば、誘拐として捕まえてもらえると述べ、他人となった申立人とであれば普通に話せると思うと述べているのである。
未成年者は、平成二七年三月の調査時点では一一歳であり、理解力や表現力にも欠けるところはないから、未成年者の意向の表明についてはこれを尊重すべきであるところ、上記のとおり、親権者が相手方となった後の面会交流は肯定しているから、申立人との面会交流を全面的に拒否するものではない。そして、未成年者の上記発言は、上記各調査報告書を総合すると、未成年者が現在の監護状況の継続を望んでおり、その希望がかなえられた状態であれば、申立人との面会交流を受容するものと理解すべきである。
面会交流の開始を、申立人と相手方との離婚訴訟において親権者の指定がされ、これが確定した後とする未成年者の発言は、その条件が親権者の確定であることに照らし、相手方の意向を反映したものというべきであり、また、面会交流により現在の監護状況が変更されるものでもないから、未成年者の上記意向の表明は、現時点において、申立人との面会交流を妨げる事情と評価すべきではない。
(4) 以上のとおりであるから、申立人との面会交流の実施が、未成年者の福祉を害するものと認められる特段の事情はなく、申立人との面会交流を認めるべきである。
三 そこで、申立人は、申立ての趣旨記載のとおりの面会交流の実施を求めているので、具体的な面会交流の方法について検討する。
(1) まず、相手方は、未成年者が既に一二歳であり、自らの福祉について判断することができ、意思を表明することができるから、相手方に作為義務を課すべきではないと主張している。
申立人と未成年者との面会交流は四年以上実施されておらず、申立人が未成年者を小学校から連れ出したことをきっかけとして、相手方が転居し、その転居先及び未成年者が通学している小学校を明らかにしていないことは上記のとおりである。
そして、相手方は、申立人と未成年者との面会交流を認めるべきではないと主張して、面会交流の試行も拒絶しているから、申立人と相手方が、面会交流の具体的な方法等について協議することを期待し得る状況にはない。
他方で、未成年者は、申立人との面会交流そのものを拒否しておらず、現在の監護状況が継続することを前提とした上で、申立人との面会交流を受容しているものと理解すべきであって、その時期を親権者が相手方となった後とする発言が相手方の意向を反映したものというべきであることは上記のとおりである。
したがって、未成年者が既に一二歳であり、十分な判断能力を有し、意思を表明することができることを考慮しても、未成年者の負担や生活上の不利益に対する配慮をした上で、面会交流の具体的な方法等を定め、相手方に未成年者の引渡の作為義務を課さなければ、面会交流を実現することはできないものというべきである。
(2) そこで、面会交流の具体的な方法等について検討する。
ア 審判手続において、相手方は、面会交流の試行や再度の未成年者の調査を拒絶しているため、面会交流の実施による未成年者への影響や面会交流の実施方法についての未成年者及び相手方の意向を聴取することができない。
また、上記のとおり、未成年者に対し、人事訴訟事件を含め調査官による三回の調査が行われているが、いずれも、家庭裁判所内における調査にとどまり、未成年者の自宅での調査及び学校に対する調査は行われていないから、未成年者の具体的な生活状況は不明であり、面会交流の実施において考慮すべき未成年者の学校生活及び日常生活における支障も明らかではない。
さらに、申立人と相手方との離婚訴訟は未だ係属中であって、未成年者は、申立人と相手方との紛争の渦中にあって、小学校低学年時に、申立人と相手方との別居に伴い、その居住場所や小学校を転々とする経験をするなど、心理的な強い負荷の下で成育していたものといえる。
上記の事情と面会交流が途絶えてから既に四年以上を経過していることに加え、調査官の三回の調査において、相手方の意向を反映したものであるとはいえ、いずれも親権者が相手方となった後に面会交流をするとの意向を示している未成年者の心情に照らせば、面会交流を実施することによる未成年者の負担が過大なものとならないようにすべきであり、面会交流の再開にあたっては、月一回の日帰りに止め、その時間も当初は長時間に及ぶことを避けるのが相当である。
したがって、申立人が未成年者と食事を共にしたいとの意向を有していることを考慮し、月に一回、午前一一時から午後四時までの五時間の面会交流を実施するのが相当である。
イ 未成年者の引渡場所について、未成年者の住所地は明らかではないから、申立人の住所地に近接した△△駅の改札口とし、未成年者の監護補助をB及びAが行っており、外出の際に付き添っていることは上記のとおりであるから、上記場所において引渡を行う者として、相手方及び相手方の指示を受けた第三者と定めることが、未成年者の生活に相応した措置である。
ただし、申立人が、面会交流終了時に引き渡す者については、未成年者の安全に配慮し、相手方から事前にその旨の通知を受けた第三者に対して引き渡すものとする。
ウ 申立人は、七回目以降の面会交流について宿泊を伴う面会交流とすることを求めているが、六回の面会交流の実施がされたことにより、宿泊を伴う面会交流が未成年者の心身に過大な負担を与えるものでなくなるものとはいえず、未成年者の福祉に合致するものと判断することはできない。
したがって、相当期間、上記面会交流を実施した上で、未成年者の心情や生活状況等を考慮して判断するのが相当であるから、現時点でこれを定めることはできない。
また、申立人は、△△への年二回の里帰りを求めているが、同様に、現時点でこれを定めることはできない。
エ 審判手続において、申立人から未成年者にあてて三通の手紙を調査官あるいは相手方手続代理人を経由して交付し、これを未成年者が受領しているが、これ以外に申立人と未成年者との間で、何らかの通信手段をもって交流したことは窺われない。
したがって、今後も当分の間、手紙による通信を継続すべきであり、携帯電話により直接会話することについては、今後の面会交流の実施を経た上で、未成年者の意向も踏まえて行われるべきであり、現時点で携帯電話等手段を特定せずに通信を行うことが、未成年者の福祉に合致するものと判断することはできない。
オ さらに、申立人が未成年者に誕生日などに社会的に相当な範囲内の贈り物をすることは妨げるべきではなく、また、相手方はこれを未成年者に手渡すべきであるということができるが、未成年者が既に一二歳であり、申立人と月一回の面会交流を行うことに鑑みれば、相手方に対し、未成年者の反応等を申立人に通知することまでを課す必要を認めることはできない。
(3) 以上のとおり、申立人と未成年者との面会交流について、未成年者の福祉に配慮し、月一回五時間の面会交流を実施し、手紙による通信及び贈り物を送ることを認めるのが相当である。