幼児期の面会交流

3歳以下の面会交流は早すぎるのではないですか。

この点は、裁判所によっても考え方が違うのが臨床的な経験です。例えば,横浜家裁ではお父さんの顔が識別できていないことを理由に制限方向に解しましたし、名古屋家裁ではあまりこの点は「記憶がない」という理由で、面会交流の積極方向にとらえられているようです。

 

ところで,三つ子の魂百までというように、小さな幼児期のアタッチメントは青年期にまで与える影響が大きいといえます。
したがって、こどもとしては、養育者との愛着形成の途上です。したがって、そういう時期あるからこそ監護親だけではなく非監護親との出会いの場は必要とされています。

いずれにしても、乳児の面会交流は難しいです。卑近な例でいえば、まだパパになりきれていない人がいるので、こどもの目線で話しかけられない、という人が多いという印象です。パパさんも、合えれば良いと考えるのではなく、こどもの傷付きやすさや分離不安、母親との愛着形成すらその途上であることを理解してあげる必要があります。このため、面会交流時の時間や場所、そして関わる人など、乳幼児の負担を減らす配慮が必要である。

 

こういう場合、こういう見解が対立することが多いと思います。

母親:こどもは私から離れたことがないし、人見知りする、多分父親と分からない
父親:会いたいが、こどもと接したことがないし、どうしたら分からない。父親と分かってもらえなかったらどうしよう

このように、いずれにしても、父母はいずれも不安を抱えているので、未来につながる面会交流をしていくということになるかと思います。

父性は基本的には3歳くらいまでのこどもの同居で養われるといわれます。したがって、面会交流を継続的に行っていなければ、父親はこどもに対する関心を失うということになります。こうしたこどもは思春期に問題が生じることも考えられます。

 

幼児の面会交流はこども自身の拒否ということは、ほとんどありません。イヤというのは、母親の心情に巻き込まれているといえます。
しかし、それはこどもと母親が適度な距離を保てていないことの表れともいえます。

幼児の面会交流は、こどもが人見知りをするかなどにもよりますが、面会交流親の対応などがキーポイントになります。

そこで、あまり性急に関わろうとすることなく、また、祖母などの女性の力を借りるのも、幼児の安定した面会交流を長続きさせるコツといえます。