面会交流は、必ずしも裁判所で合意する必要はなく、私製証書や公正証書での合意でも足りるものと考えられます。もっとも、今日では私製証書や公正証書においても、具体的実施要領を作成する例が多いように感じられます。
一般的に、離婚夫婦には、(ア)低緊張離婚夫婦と(イ)高緊張離婚夫婦に分けられるものと考えられています。そして、(ア)低緊張離婚夫婦の場合、第三者の援助が必要ではない場合もあるかもしれませんが、調停調書や公正証書までは作成しないものの、弁護士に依頼して私製証書は作成しておきたいというケースもあると思います。また、離婚に際して公正証書を作成する際に面会交流条項を入れることを求めることもできます。しかし、面会交流を公正証書で約束すると、その履行がなされない場合、家庭裁判所の履行勧告事件が利用することができない、という問題点もあります。
もっとも、履行勧告事件は、家庭裁判所調査官が、監護親に連絡をとり、「会わせられない理由」といった文書を送付し調整ができないとか、会わせるという言質をとった場合は早々に履行勧告事件を終了させてしまうこともあります。この点は地域の各庁によって家庭裁判所調査官の親切さは異なるものと考えられます。とはいうものの、低緊張離婚夫婦の場合、履行勧告などの問題は生じないと考えられますので、私製証書や公正証書でガイドラインを決めておくことで十分足りるのではないかと考えられます。