面会交流の変遷
厚生労働省の人口動態調査によると、こどものいる夫婦が離婚する場合、母がこどもの親権者となる割合は、平成27年の時点で84.3パーセントに上るとされています。しかし、徐々に母親が親権者となる割合が増加し、昭和40年になると母親が親権者となる割合が父親が親権者となる割合を超えました。
そのころから、判例上面会交流が認められるようになりました。また、離婚をしていなくても、平成12年、最高裁が別居中でも面会交流を認める民法766条を類推適用する見解を示しました。面会交流は離婚事件のみならず別居事件や単独の事件として、申し立てられることが増えていきます。
このことは、平成13年には2797件、平成14年には3345件、平成15年には4203件と増加するようになりました。
このような変遷を経てきた面会交流ですが、一番最近の大きな変化といえば、平成23年に成立した改正民法により、面会交流の法的根拠が民法上明文化され、権利性が承認されています。離婚届にも記載が任意ですが、面会交流を認める項目が追加されるようになりました。
インターネットの普及とともに、以前は書物から収集するしかなかったような情報が、自宅にいながらにした簡単にパソコンやスマホで検索できるようになったことも、面会交流に変化をもたらしています。例えば、こどもに会わない親の団体やその活動が知られるようになり、欧米の共同監護や頻回な面会交流情報なども容易に検索できます。
これまで、こどもと会うのは、諦めてきた別居審たちが、これらの情報に触れることにより、面会交流という権利を主張するようになってきているように思います。